ホルテンさんのはじめての冒険

ベント・ハーメル監督の描くおじさんたちは、どうしてもこんなにもキュートなのだろう。いや、いままで私が気づいていなかっただけで、そもそもおじさんというのはかくもキュートな存在だった?

ヨーロッパ鉄道景勝ルートとして名高いノルウェーの鉄道「ベルゲン急行」の運転士ホルテンさん。うっとりするような雄大な雪景色をひた走る列車を操る姿はりりしくて、定年を迎えるようにはみえません。

まじめで、同僚からの信頼も厚いホルテンさんが、次々と小さなトラブルにみまわれながらもひょうひょうとピンチを切り抜け、ひとびとと出会い、こどもの頃からずっと心にひっかかっていたことを思い切ったやりかたで乗り越えてしまいます。奇想天外なシチュエーションにくすくすと笑ってしまうことも多いのですが、さみしいこと、悲しいこともそこここにちりばめられており、ファンタジーのようでいてファンタジーとは言い難い、不思議な作品です。

なにごとにも逆らわず、なるようになるとなんでも受け入れていると、案外、人生はいい具合に転がっていくのかもしれないねぇ。

ホルテンさんのはじめての冒険」(原題:O’horten)

監督・脚本・製作:ベント・ハーメル

キャスト:
ボード・オーベ
ギタ・ナービュ
ビョルン・フローバルグ

製作: 2007年 / ノルウェー