こども東北学

震災から5年、復興の道のりは遠く、そもそも復興って?という問いに自信をもって答えられるひとも少ないと思う。考えたからといってなにかが変わることがないのはわかっていても、あんなにも大きな被害を受けたひとびとが今どうしているのか、なにを思っているのか、つい考えてしまいます。ひとは強いのか、弱いのか、震災後数か月の間に那須で、炊き出しに訪れた被災地の先々で経験したあれこれのなかでよくわからなくなってしまいました。

宮城出身の著者が赤裸々に語るふるさとへの思い、じいちゃん、ばあちゃんへの思いは複雑で、理解できるような気もするし、理解するのは無理なのかもしれないとも思ったり。いとおしく思う気持ちとどこからくるのかわからないコンプレックスとの間に揺れる思いが切ないです。

復興への道のりは、新しい世界を切り拓く道のり。新しい世界って???
その問いの答えを探していくのは彼らだけの課題ではなくて、私たちすべてのおとな(もしかしたらこどもたちも?)に課せられたものだと思いました。

東北学、民俗学の入口にぴったり。こどもだけに読ませておくのはもったいない一冊です。

こども東北学 (よりみちパン!セ)」(イースト・プレス)

山内 明美(著)