「健康格差社会」を生き抜く

経済格差はわかるけれど、健康格差って???と気になり、中古で入手した一冊。

経済的に困窮することで健康を害したり、適切な治療を受けられずに健康を維持できないという話のほか、生まれ育った家庭の経済状況が生涯にわたっての健康を左右するというような話もでてきます。読み進めていくうちに「健康ってなんだろう」という思いで頭の中がぐるぐるしてきます。

海外の事例紹介も含め、様々な視点でひとびとの健康に格差が生じてしまう原因を探っていきます。そして最後にでてくるのが「社会が健康であること」という考え方。

確かに、社会の一部のひとたち(たとえばお金持ちだけ、とか)が健康だとしても、それ以外のひとたちが不健康で、適切な治療を受けられないような社会は、一部の健康なひとたちにとってもハッピーな社会とはいえないはず。社会全体として、必要な医療にかかるコストを効率よく負担できるようなしくみを築いていくことが、財政状況もよくない日本にとって、すぐにも対応しなければならないことだと気づきました。

格差についていい悪いを論じることよりも、格差によって生じる課題の対策を考え、行動していくほうが現実的で効果も大きいはず。健康格差だけでなく、経済格差の問題についても、同じことが言えるかも。

格差があろうとなかろうと、わたしたちは死ぬまで生き抜かなければならないからねぇ。

「健康格差社会」を生き抜く朝日新聞出版

近藤 克則(著)
新書: 256ページ
発売日: 2010/1/13