シッコ

あまり評判のよくないオバマケア、TPPの影響等、アメリカの医療保険制度のことが気になり、マイケル・ムーア監督の「シッコ」を観ることに。

オバマケア=国民皆保険としか理解していなかったので、なぜこんなにもネガティブに扱われているの?と思っていたのだけれど、日本の健保制度とはまったく違うものだとわかり、かつ、なかなかうまく機能しない仕組みだということにも納得。具合が悪いのに支払いの問題で治療が受けられないひとがいる、ということにショックを受けました。また、営利企業である保険会社の暴走を抑えられないアメリカ政府のありかたは、今の日本の政府のありかたにも通じるような気がして暗い気持ちに。お金?権力?のパワーというのは、いともたやすく人間の良識、良心を凌駕してしまうものなのか。じんわり怖い。

フランスに移住したアメリカ人たちのインタビューもとても興味深いもので、「こんなにも恵まれていることに罪悪感を覚える」という女性のことばが忘れられません。ごくごくふつうの、良識的なひとびとのリアルな言葉の重みにはっとさせられます。

マイケル・ムーア監督、ちょっと暴走気味なところが私は大好き。ふざけ過ぎととるか、ユーモアととるか、意見の分かれるところだと思うけれど。今回もグァンタナモ米軍基地に乗り込むくだりにはしびれました。その流れでキューバを訪れるという展開もサイコー!でした。

シッコ(原題:Sicko)

監督:脚本:マイケル・ムーア

製作:2007年 / アメリカ